拙訳
光学シミュレーションのパラメータ(Optical Simulation Parameters)
光学に基づかないパラメータの使用(Use of Parameters Not Based on Optics)
- 長所
- アーティストが光学的整合性に制限されない
- 短所
- 出力はアーティストに強く依存する
- 多くの経験か知識が必要になる
- 写真撮影に親しみのない人は不自然な結果にほとんど気付かないかも
- 物理的に怪しい結果が定期的に見つかる
- 例: 背景のボケが近、中距離と比較して大きすぎる
- 写真撮影に親しみのある人がみれば、何かがおかしいと感じるかも
- 物理的に怪しい結果が定期的に見つかる
不自然なDOFハンドリング(Unnatural DOF Handling)
- F値はフォーカシングかズーミングで過度に変化する
- FOVが広いとき、背景のボケが大きすぎてしまう
- ミニチュアのように見えるシーン
自然なDOFハンドリング(Natural DOF Handling)
- 背景のCoCサイズはフォーカス距離やFOVによって異なる
- 広いFOV、または、遠いフォーカスは小さなボケを生み出す
- 狭いFOV、または、近いフォーカスは大きなボケを生み出す
- F値は変えなくても良い
- フォーカシング時はF値を一定にしたままにする
- 最小F値はその機構に依存してズーミングにより変化するかも
光学に基づくパラメータの使用(Use of Parameters Based on Optics)
- アーティスト設定から必要なパラメータを計算する
- アーティスト設定
- FOV、絞り、フォーカス距離、など
- アーティスト設定
- 長所
- 光学的整合性を維持できる
- 設定するパラメータが少ない
- 短所
- アーティストが光学的整合性によって制約を受ける
- アーティストが思い通りにDOFを制御できないかも
- アーティストが光学的整合性によって制約を受ける
写真撮影に基づかないパラメータの使用(Use of Parameters Not Based on Photography)
- 光学パラメータは依然として不自然になるかも
- 10,000mmのフォーカス距離
- 0.1のF値
- 望遠レンズで1cmのフォーカス距離
- などなど…
よくある間違い(A Frequently Made Mistake)
- 人物にピントを合わせて背景をボヤけさせたいとき
- 広角FOVを用いて人物をフレームに収める
- 人物にピントを合わせる
- 背景をボヤかしづらい、ので
- 背景がボヤけるまで絞りを開く
- F値が小さくなりすぎてしまうかも
⇒ シーンが不自然にミニチュアっぽくなる
背景をボヤかす間違った方法 f/0.3(写真撮影に基づかない)(The Wrong Way to Make a Background Blurry f/0.3 (Not Based on Photography))
パラメータは写真撮影に基づくべき(Parameters Should be Based on Photography)
- 不十分なブラーは絞り設定の問題ではない
- カメラ位置とFOVの関係の問題である
- カメラを前方に動かしたりズームインするとボケが大きくなる
- カメラ位置とFOVの関係の問題である
- 写真撮影に基づかないパラメータは不自然に見える結果を引き起こす
- 光学パラメータを適切な範囲に制限する
- F値はf/1.0からf/32.0までにすべき
- ズームレンズではf/2.0以上
- フォーカス距離の下限は焦点距離の2倍にすべき
- つまり、マクロ1:1
- など
- F値はf/1.0からf/32.0までにすべき
- 光学パラメータを適切な範囲に制限する
写真撮影に基づくパラメータ(Parameters Based on Photography)
- アーティストはカメラを移動したりズームインしたりしなければならないだろう
- その結果は自然に見えると思う
背景をボヤかす間違った方法 f/0.3(写真撮影に基づかない)(The Wrong Way to Make a Background Blurry f/0.3 (Not Based on Photography))
背景をボヤかす適切な方法 f/2.8(写真撮影に基づく)(The Proper Way to Make a Background Blurry f/2.8 (Based on Photography))
光学パラメータのアニメーション(Optical Parameter Animation)
- フォーカスアニメーション
- ズーミングアニメーション
- フォーカスブリージング
- ズーミング時の最大絞りの変化
- 口径食の変化
- などなど…
- アーティストはこれらすべてを制御すべき?
- 多くの経験か知識が必要になる
- フォーカシングとブリージングはまったく別の知識である
- 出力の品質はアーティストの経験か知識に強く依存する
- 多くの経験か知識が必要になる
- アーティストにより指定された設定をオーバーライドする
- フォーカシングアニメーションを自動化する
- アーティストはフォーカシングの対象を設定するだけ
- フォーカスブリージングによりFOVをオーバーライドする
- FOVに依存して最小F値をオーバーライドする
- などなど…
- フォーカシングアニメーションを自動化する
フォーカスブリージングによるFOVのオーバーライド(Override FOV by Focus Breathing)
- フォーカス距離とフォーカシングメカニズムに依存してFOVを変更する
フォーカスブリージングの近似(Approximation of Focus Breathing)
- 無限遠のFOVとフォーカス距離から現在の有限遠のFOVを計算する
-
- : 無限遠の焦点距離
-
- : 無限遠の像距離
-
- : 現在の有限遠の像距離(ブリージングの結果)
-
- : 現在の有限遠のFOV(ブリージングの結果)
- ブリージングの結果に対する光学の有効焦点距離
- フォーカス距離とに依存してズレるだろう
- はフォーカスブリージングの度合い
- をからの間に設定することでブリージングを制御できる
-
ブリージングの度合い: r(Degree of the Breathing: r)
- は、FOVが単レンズの法則に応じて狭角になることを意味する
- 全群繰り出しフォーカシング(典型的なマクロレンズ)
- 光学的な焦点距離は常に一定
- は、FOVが一定である(ブリージングしない)ことを意味する
- 焦点距離は像距離をズラす代わりに短くなる
- いくつかの高価なレンズ
- は、有限遠に焦点を合わせるとき、FOVが広角になることを意味する。
- 焦点距離は更に短くなる
- 典型的なインターナルフォーカスレンズ(安価なレンズ)
- アーティストはレンズごとにを選択する
- 直接を設定する
- レンズのフォーカスメカニズムを選択する
遠い焦点(Far Focus)
近い焦点(全群繰り出しフォーカシング: r = 1)(Close Focus (All-Group Focusing: r = 1))
近い焦点(ブリージングなし: r = 1)(Close Focus (with No Breathing: r = 0))
近い焦点(インナーフォーカシング: r = -1)(Close Focus (Inner Focusing: r = -1))
可変最大絞りズームレンズ(Variable Maximum Aperture Zoom Lens)
- 焦点距離に依存して最小F値を変更する
- 現在のF値を最小F値に制限する
- 現在のF値と最小F値の比に依存して絞り形状を変更する
- 円形絞りから多角形絞りへ
可変絞りズームレンズの近似(Approximation of Variable Aperture Zoom Lens)
- もとの最小F値と元のFOVと現在のFOVから現在の最小F値を計算する
-
- : 元の焦点距離
-
- : 現在の焦点距離
-
- : 現在の最小F値
- 上記のパラメータはすべて無限遠でのものである
- は元の視野角
- は元の焦点距離
- は元の最小F値(最大絞り)
- は現在の視野角
- は現在の焦点距離
- は現在の最小F値
- は最大絞り変化の度合い
- からまでにを設定することで最大絞りのズレを制御できる
-
最大絞り変化の度合い: q(Degree of the Maximum Aperture Varying: q)
- は、最小F値が一定であることを意味する
- いくつかの高価なレンズ
- は、最小F値が焦点距離によりズレるであろうことを意味する
- 焦点距離が4倍長くなれば、最小F値は2倍大きくなる
- は、最小F値が焦点距離に比例することを意味する
- 焦点距離が4倍長くなれば、最小F値は4倍大きくなる
- ほとんどのレンズはからまで
- アーティストはレンズごとにを選択する
- 元の最小F値とを直接設定する
- 最小F値の組み合わせを設定する
- 製品のレンズ仕様から
可変絞りズームレンズの近似(Approximation of Variable Aperture Zoom Lens)
- 絞りの組み合わせからを計算できる
- 製品のレンズ仕様の例
- 9-18mm F4.0-5.6
- 18-135mm F3.5-5.6
- 24-70mm F2.8(FOVの全範囲に対して一定の最小F値を持つレンズ)
- 9-18mm F4.0-5.6
30mm(最大絞り f/2.8)(30mm (Maximum Aperture f/2.8))
75mm(最大絞り f/2.8 : q = 1.0)(75mm (Maximum Aperture f/2.8 : q = 1.0))
150mm(最大絞り f/6.3 : q = 0.5)(150mm (Maximum Aperture f/6.3 : q = 0.5))
150mm(最大絞り f/2.8 : q = 1.0)(150mm (Maximum Aperture f/2.8 : q = 1.0))
自動制御すべきパラメータ(Parameters which Should be Controlled Automatically)
- 実際のレンズで写真家の意思に関わらず変化するもの
- レンズのメカニズムによる
自動制御すべきパラメータの例(Examples of the Parameters which Should be Controlled Automatically)
- フォーカシング
- フォーカシングアニメーション
- オートフォーカスの混乱
- フォーカスブリージング
- ズーミング
- ズーミングアニメーション
- 絞りの変化
- ズーム時のピントずれ
- ある種のコンパクトデジタルカメラ
- 口径食の変化
- カメラの節点
- NPP(No-Parallax Point)にカメラ位置をズラす
- 自動露出調整
- など
光学での”相互律”の扱い(Handling “Law of Reciprocity” in Optics)
どちらが良い?(Which is Better?)
- 厳密に”相互律”を扱う
または
- 露出はシャッタースピードや絞りと無関係である
厳密に”相互律”を扱う(Handling “Law of Reciprocity” Strictly)
- 例えば
- 絞りを開く場合、露出量は間違いなく増える
- 絞りを変えずに露出量を減らす場合、シャッタースピードをより早くしなければならない
- 光学的な整合性は完璧に維持される
厳密に”相互律”を扱う(続き)(Handling “Law of Reciprocity” Strictly (cont’d))
- シーンの測光量(輝度、照度、など)とISO感度を適切に設定する。でないと、露出が失敗するだろう
- 露出が減少するにも関わらず、シーンが白くなる
- 露出が増加するにも関わらず、シーンが黒くなる
- 制御するのは難しい
- 露出
- DOF
- モーションブラー
露出はシャッタースピードや絞りと無関係(Exposure is Independent of Shutter Speed and Aperture)
- 例えば
- F値は”被写界深度”を扱うためにのみ使われる
- シャッタースピードは”モーションブラー”を扱うためにのみ使われる
- 独立露出は”露出”を扱うためにのみ使われる
- アーティストは光学パラメータを簡単に制御できる
- 光学的な整合性は完全には維持されない
- 写真撮影に親しみのある人が見たら、不自然に見えるかもしれない
光学での”相互律”の扱い(Handling “Law of Reciprocity” in Optics)
- 相互律を扱うより良いアプローチは、目的を達成する方法で行うことである
おわりに(Conclusion)
- 光学は物理的にもっともらしい結果を達成することができる
- 写真撮影に基づかないパラメータは光学に倣っていても不自然な結果を引き起こす
- 自然な見た目の結果のために適切な範囲に光学パラメータを制限する
おわりに(続き)(Conclusion (cont’d))
- カメラメカニズムからパラメータを導くことができる
- 撮影者からの外部入力を除く
- “相互律”は目的に応じて選択的に使われるべき